ももとらサロン

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【プランニング演習】マーケティング仮説の立案方法と実務に役立つノウハウ【マーケティングレッスン】

こちらは「【連載企画】すぐ使えるマーケティング実務ノウハウ20選」の第4回目の記事です。
今回は「マーケティング仮説の立案方法と実務に役立つノウハウ」について紹介していきます。

仮説立案方法と実務に役立つノウハウ&テクニック

先日クライアントとのリモート会議で「いろんなデータを集めることはやれているのだけど、ただ集めるだけになってしまっているんですよね。」というクライアント担当者のお悩みというか独り言を聞きました。

「なりほど、そういう事ってまだまだ多いんだなぁ。」と思いながら聞いていると、私よりも饒舌なプロダクションの方がそのお悩みを解決するための自主提案を進言し受注機会を拡げて会話は終わりました。商売熱心で感心します。

私はその時別の事を考えていました。
「それってたぶん仮説を立てていないからだよね?」、そして「仮説がないのは仮説を立てる目的や方法がウヤムヤだからだよね?」と考えました。
そういうことで、今回の記事のテーマに入っていきます。

今回は「仮説立案」です。

この記事でお伝えしたいこと

・仮説を立案する意味と目的を明らかにします。
・仮説立案の方法と実務に役立つノウハウを紹介します。

この記事の進行キャラクター

今回も恒例終わりましたラクターで楽しく進行していきます。

この記事の進行キャラクターの解説

どうぞよろしくお願いします。

記事の信頼性

この記事は実務経験30年のベテランマーケターで、広告代理店のマーケティング部長を務め、現在はマーケターとサーフボード工場経営の二刀流で活動している「ももとら」が執筆しています。

筆者のプロフィール画像
広告代理店で若手社員向けのマーケティング研修を担当してきましたので、初心者の方にもわかりやすくお伝えできると思います。

読者の悩み

よく打ち合わせで「君は仮説を持ってきているの?」と指摘されているサイです。
ここだけの話ですが、仮説についてちゃんと考えたことがありません。
これを機会にマスターしたいと思いますので、ぜひ教えてくだサイ!!

先日、打ち合わせでサイ君に「君は仮説を持ってきているの?」と指摘したシカです。
プロジェクトメンバー全体で仮説を持ち合ってプランニングできるようになると業務のクオリティがアップするんですけどねぇ。
何か良い方法があったら教えてくだサイ!!

かしこまりました。
皆さんのお悩みにお応えしていきます。
どうぞ、最後までご覧ください。

そもそも仮説とは何?

ネットで「仮説」と検索してみると「結果や事象を科学的かつ合理的に説明するために、仮に設定する論理的なストーリー」というところが一般的な解釈となっています。

掘り下げてみると「結果や事象に関係があることを説明するデータや根拠などの情報から類推された仮の解」を仮説と呼んでいます。

そして、結果や事象と仮説が実際に関係あるかどうかを検証する行為が「仮説検証」となります。

なぜ仮説を立てるのか?「仮説立案の目的」

仮説立案の目的は「原因を発見するための仮説」「課題を発見し対策を講ずるための仮説」の2つに大きく分類されます。

それぞれで仮説立案の演習をしてみましょう。

  1. 原因を明らかにする。
    結果・事象
    ⇨売上が上向いている。
    データ・根拠
    ⇨来店客が30%増加している。・来街者数は40%増加している。
    仮説
    ⇨緊急事態宣言解除による「自粛生活の解禁」

  2. 課題と対策を明らかにする。
    狙い
    ⇨サウナ事業者がコロナ禍終息後に売上と利益を出せる業態を開発したい。
    データ・根拠
    ⇨富裕層を中心に家庭用サウナは増加傾向。
    ⇨完璧な衛星管理とプライバシー保護が求められている。
    ⇨コロナ禍でストレス度が高いのは若年者層。
    仮説
    ⇨若者をターゲットとした「ソロサウナ」の開発で新たな需要を創造。

    ※演習の題材は仮のものです。

こんな感じですね。

仮説立案の方法

次は仮説立案の方法を紹介します。

「仮説立案」と聞くと身構えてしまう方もいらっしゃるのではないでしょうか?
その原因として、仮説立案の具体的な方法を知らずに何となく考えているという実態があるからだと考えています。
その何となく考えているという状況を解決していきます。

下に実務に役立つ仮説立案の3つの方法を紹介します。
演繹法(デダクション)、帰納法(インダクション)、アブダクションです。

演繹法(デダクション)による仮説立案方法

演繹法はいわゆる三段論法と同じです。
「前提が正しければ必ず結論も正しい」という前提で進めます。

先ほどのサウナの例で実演していきましょう。

  • 前提
    ・コロナ禍の巣ごもり生活で身体の新陳代謝が改めて重要視されている。
    ・特に若年女性層の心身のデトックスおよびリラックスの意向が高い。
    ・コロナ禍が完全に終息していない現状は密になる行動は避けたい。
  • 推論
    ・富裕層が自宅に導入している家庭用サウナに対するあこがれが強い。
    ・衛生管理とプライバシー管理が徹底され、科学的なエビデンスがある本格
     的なソロサウナは、スーパー銭湯などの従来のリフレクション施設などの
     ニューノーマル下における需要の受け皿となる可能性がある。
  • 仮説(結論)
    ・若年女性が多く居住する商圏で女性限定ソロサウナのテストマーケティン
     グを実施し市場のポテンシャルを測定ながら事業化を進める。
    ・インフルエンサーとSNSを活用したマーケティングで「女性限定ソロサウ
      ナ」のコンセプトをPRし、新たな需要を掘り起こす。
    ・テストマーケティングの動向をチェックしつつ、全国都市圏をメインに旗 
     艦店舗を設置。FC展開や関連商品のEC販売も並行して展開する。

いかがでしょうか。
ここでは仮のテーマで実演していますが、演繹法で進めると前向きな仮説が拡がっていきますね。

演繹法は誰にもわかりやすいので、前提さえしっかりしていれば、多くの人の賛同を得ることが可能です。

帰納法(インダクション)による仮説立案方法

帰納法は複数の事実(前提)から共通点を見つけて結論を導く方法です。

先ほどと同じサウナの事例で実演してみましょう。

  • 事例
    ・事例①:東京で「女性限定ソロサウナ」のコンセプトテストを実施した
                    ら、若年女性の利用意向率が30%だった。
    ・事例②:大阪、名古屋も同様に30%だった。
    ・事例③:博多、仙台、札幌は20%だった。
  • 共通点
    大都市商圏の利用意向率が総じて高い。
  • 仮説(結論)
    まずは東京、大阪、名古屋の大都市商圏を中心に展開して「女性限定ソロサウナ」を流行させながらブランド力を高め、段階的に地方都市商圏に展開する。

    ※ここで記載している調査数値は架空に設定したものです。

統計や定量調査などの客観的なデータを活用することで仮説に説得力を持たせることができます。

アブダクションによる仮説立案方法

アブダクションは「観測できる事実」や「普遍的な事象」から「観測不可能な原因」を推論する方法でもっともらしい仮説を立てることができます。

  • 結果
    若年女性は心身の新陳代謝に関心が高い。
  • 推論
    新陳代謝が高い人はサウナが好きである。
  • 仮説(結論)
    若年女性は「サウナが好き」だろう。

論点をフォーカスするというよりは思考や視点を拡げやすい方法なので、アイデアを出す場面などで有効な方法と言えます。

仮説立案力を高めるために

仮説立案力を高めるためのアドバイス

仮説を立案する際にデータに振り回されてしまって、中々、先に進めないという方は結構多いのではないでしょうか?
私からのアドバイスは、「仮説立案は頭を柔らかくして気楽に実施してください。」ということです。
仮説立案の段階では大まかなあたりを付けるぐらいのレベルであえて止めておきましょう。緻密に詰めていくことよりは、柔軟にたくさんのユニークな仮説を思考する方が大事です。
仮説のクオリティアップや絞り込みはこの後に解説します。

仮説立案力を高めるためのおススメ書籍

実務で仮説立案を進めていく時に「ここは演繹法で、ここはアナロジーで考えてみよう」と意図的に選択することはあまりないですよね。
実態としては無意識的にこれらの方法を組み合わせて考えたりするのではないでしょうか。
これらの思考方法は仮説立案にとどまることなく、ビジネスの様々なシーンで活躍するものですから、これらを思考技術を無意識に活用できるレベルまで身に付けることができると大きな武器になります。
これらを本格的に学びたい方におススメしたい書籍を以下に紹介します。
最初に「問題解決力を高める「推論」の技術」から入ると効率的だと思います。

仮説立案のクオリティをさらにアップさせる「仮説検討」

ここからは仮説立案のクオリティをさらにアップさせるノウハウを紹介します。

個人で考えた仮説を持ち寄って、ぜひチームでディスカッションしてみてください。
情報の捉え方や考え方は人それぞれ違いがあります。
その違いを有効活用していきましょう。
メンバーで仮説を出し合って着眼点や考え方の幅を確保する方法が「仮説検討(Hypothesis Examination)」です。

三人集まれば文殊の知恵ってやつですね。

まず、メンバーそれぞれが持っている「仮説の種」や「マーケティング戦略の考え方」「アイデア」を1枚のフォーマットに落とし込みます。

以下は仮説立案フォーマットのサンプルです。

仮説立案フォーマット画像

書式は自由なので使いやすいように加工して使いましょう。
フォーマットの記載方法は、それぞれのボックスに、集めた情報や類推した思考を箇条書きやキーワードにしてプロットしてください。

わかりやすければ大丈夫です。

フォーマットの使い方や記載方法は以下の記事でも特集していますので、ご興味がありましたらご覧ください。

momotorasalon.com

 

仮説立案フォーマットを作成したら、次はどうすればよいですかね?

次はメンバー各々が仮説立案フォーマットを持ち寄って、ブレインストーミングを何回か開催しながら、仮説の絞り込み(重複排除程度など)やブラッシュアップを実施していきましょう。

次に仮説検討では次のチェックポイントを頭に入れて進めるようにしてください。

仮説検討のチェックポイント

  • 新規性、独自性のある仮説を優先して考える。
  • 具体的な戦術につながる仮説を優先して考える。
  • ある程度現実的(実現可能)な仮説を優先して考える。

ここで新たなアイデアを盛り込んでも構いません。
複数のプランを全員が共有し、協力しながらそれぞれの案をブラッシュアップしていくことで戦略ストーリーが絞られてアイデアの幅が拡がるといった結果が得られることがあります。

うまくストーリーがまとまると良いですけど、そうもいかない場合もありますよね?

意見が割れるようであれば、無理にまとめずに複数案を同時並行で検討していっても良いでしょう。

時間や予算が許すのであれば、絞り込んだ仮説を実際に調査などを実施して検証してみるとよいですね。仮説の受容度調査やテストマーケティングなどを実施することで、意思決定が明快になったり、新たな発見が見つかるといういうこともあります。

こうやって進めることでチーム全体の情報や知恵を共有できるとともに、次のステップに向けて意識統一ができるんですね。

チームメンバーでたくさんの情報を出し合い、たくさん議論をしていくことが重要なんです。

まとめ

今回は仮説立案をテーマにお話を進めてきましたがいかがでしたでしょうか。
仮説立案はマーケティングプランニングにおいて、とてもクリエーティブなプロセスであると考えています。
手に入れた情報から何を感じ、どう思考していくかで、推論される仮説の振り幅も、深さも自由にデザインできるところがマーケティングという科学のおもしろいところですね。

今回の記事で提供させていただいた仮説立案のノウハウを駆使して、楽しみながらクリエーティブなマーケティング実務に取り組んでいただけるとうれしいです。

ももとらサロンではこれからも「マーケティングスキルの向上や実務で役立つマーケティングノウハウ」に関する情報を発信していきます。

次回の記事では「課題設定と課題解決の方向性を導き出す方法」を取り上げたいと思います。

今後ともももとらサロンをご覧いただけますよう、よろしくお願いいたします。

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最後までご覧いただきありがとうございました。