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フリーランス・個人事業主向け納税の基礎知識「青色申告のメリットと実施方法」

今回はフリーランス・個人事業主の方向けの納税に関するお話です。

青色申告基礎知識アイキャッチ画像

皆さんは納税について詳しく理解されていますか?
長い間ずっと会社員だった私は納税の知識はほぼゼロでした。
納税は何もしなくても会社が勝手に計算して給与から天引きされていくモノということぐらいしか理解していませんでした。
あと、12月の給与は年末調整で源泉徴収の還付があるので、他の月よりも給与の振込額が多くて嬉しいぐらいのものでした。

しかしフリーランスとして独立してからはそうはいかなくなります。
個人で事業を行う場合には、自分で1年間の収支を計算し、自分で確定申告をして税金を納めなければなりません。
自分で確定申告をしない場合は税理士にその作業をお金を支払って依頼してやってもらうということになります。
どちらにしても、フリーランス・個人事業主の納税についてはその仕組みから様々な対処方法などの基礎知識を理解しておく必要があります。
本音を言うと税金とか納税とかちょっと難しいしめんどうくさいですよね。

しかし、大丈夫です。
実はサーフボードのリペアを依頼されたお客さんが税理士をやっていて、ガッツリ取材させていただきました。
この記事は税理士さんへの取材をベースにフリーランスや個人事業主の税金や納税の仕組みについておさらししつつ、具体的にどのように申告手続きをするのかまでの情報をわかりやすくまとめました。

この記事を読むことで、フリーランス・個人事業主の税金や納税の基礎知識と納税方法を習得することができます。
なぜならこの記事には、実務経験20年以上のプロの税理士さんのノウハウを私が直接取材したものだからです。
取材の最初は「?」な状態でしたが、順を追って理解していけば何とかなる世界です。
納税のレクチャー料としてボードのリペア料金を値引きしましたので、この記事の内容は「有料級の情報」と言っても良いかと(笑)。

どうぞ最後までご覧ください。

この記事の進行キャラクター

今回の進行キャラクターです。

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楽しくわかりやすく進行していきます。
どうぞよろしくお願いします。

記事の信頼性

この記事は実務経験20年以上のプロの税理士さんからベテランマーケターのももとらが直接取材した内容を記載しています。

講師のシカさんのプロフィールはこちら。

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筆者のプロフィールはこちら。

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今回はフリーランスや個人事業主の税金と納税についてインタビューさせていただきます。
正直なところ、なにひとつ分かっていません。
どうぞよろしくお願いします。

承知しました。
わかりやすく解説していきますね。
どうぞ最後までご覧ください。

この記事でわかること

  • フリーランスが納める税金の仕組み
  • 青色申告のメリットと方法
  • 会計ソフトや税理士紹介サービスの活用メリット
  • 納税しないとどうなるのか

この記事のメリット

メリット①
フリーランスや個人事業主の税金と納税の基礎知識がかんたんに理解できます。
メリット②
青色申告の実施方法とメリットがよくわかります。

メリット③
経費管理や確定申告の効率化に役立つ便利なツールがわかります。

納める税金の仕組み

フリーランスの方が納める税金の種類は以下のとおりです。

  • 所得税
  • 住民税
  • 国民保険税
  • 国民年金保険料
  • 個人事業税
  • 消費税

所得税
所得税はその年の所得金額に応じて課税される税金です。
1年間の所得の合計額が48万円を超えると、確定申告で所得税額を算出して納税する義務が発生します。
所得税は所得が多くなるにしたがって段階的に税率が高くなる「累進課税制度」で、課税所得金額によって税率が5%~45%まで規定され、対象となる所得金額にその税率を掛けたものが所得税の納税額となります。

住民税
住民税は住んでいる自治体に納める税金です。
住民税は前年の所得を基準に税額が計算され各市区町村が通知してきます。
6月頃から納付書が送付されてきます。

国民健康保険税
会社員からフリーランスになった場合は新たに国民健康保険に加入する必要があります。
扶養家族の人数や収入の状況に応じて加算され、収めた金額は確定申告のときに控除されます。

国民年金税
新たにフリーランスになったら国民年金に加入する必要があります。
国民年金に加入すると「第1号被保険者」となり、国民年金保険料額は一定の保険料額に前年度の物価や賃金変動率を考慮した保険料改定率を掛けて算出され、収めた金額は確定申告の時に控除されます。

個人事業税
個人事業税は個人事業主が事業を行う際に受ける公共サービスに対して納める税金です。
事業所得が年290万円超の個人事業主に課されます。
事業税は都道府県が税額を計算し、対象者に納付書が送られてきます。
税率は業種によって異なり、国税庁のホームページで確認できます。

消費税
消費税は物やサービスなどの売買にかかる税金です。
前々年度の課税売上高が1,000万円を超える場合や、前年1月1日から6か月間の課税売上高が1,000万円を超えた場合は消費税を納めなければなりません。
消費税の申告・納税義務のある事業者を「課税事業者」と言い、課税事業者になった時は「消費税課税事業者届出書」を提出する必要があります。

青色申告のメリットと実施方法

青色申告のメリット

まず、確定申告には「白色申告」と「青色申告」の2種類があります。
「白色申告」と「青色申告」の違いは、以前は帳簿をつける義務があるかどうかでしたが、平成26年から白色申告の場合も記帳が義務づけられましたので、白色申告のメリットはほぼ無くなったと言ってよいでしょう。

青色申告の最大のメリットは「青色申告特別控除」です。
青色申告を行なうだけで、最高65万円を所得から差し引くことができます。
※簿記の種類によっては10万円の場合もあります。

たとえば所得が700万円であった場合、白色申告ならその700万円を元に所得税を計算しますが、青色申告なら「700万円-65万円」の635万円を元に税金の計算をすることになります。

青色申告の事前手続き

青色申告は事前に手続きが必要です。

  • 所得税の青色申告承認申請書
    青色申告を行うためには事前に承認を受けておく必要があり、青色申告承認申請書を納税地を管轄している税務署に提出します。
  • 青色事業専従者給与に関する届出書
    青色申告事業者は家族従業員(専従者と言います)への給与が必要経費として認められます。
    家族に給料を支払う場合は「青色事業専従者給与に関する届出書」を税務署に提出する必要があります。
    また従業員を雇う場合は「給与支払事務所等の開設届出書」の提出が必要です。

確定申告書の入手

確定申告書の入手方法は以下の3通りです。

  • 国税庁のWebサイトから確定申告書ファイルをダウンロードして出力する。
  • 税務署や市区町村役場の税務課や確定申告相談会場で受け取る。
  • 税務署から郵送で取り寄せる。

 確定申告書には確定申告書Aと確定申告書Bの2つがあります。

  • A様式:給与所得者(会社員、アルバイト・パートの方など)や年金受給者向け
  • B様式:誰でも利用できる汎用的なもの

  個人事業主やフリーランスの方はB様式となります。

確定申告書の書き方

ここでは申告書Bの書き方をおさらいします。

申告書は「第一表」「第二表」があります。

「第一表」の書き方
「第一表」は、収入(売上額)、所得(売上から経費などを差し引いた額)、各種の控除(所得から差し引くことができる額)を記入します。
さらに所得税の金額を計算して記入します。
詳しくはこちらをご覧ください。

青色申告第1表解説画像

  • (1)収入金額等
    該当する項目に1年間の収入を記入します。
    フリーランスの多くは㋐「事業/営業等」のみの記入になります。
  • (2)所得金額
    収入㋐から仕入などの「売上原価」と事業のために支出した「必要経費」を差し引きます。
    青色申告はさらに「青色申告特別控除額」もここで差し引きます。
    上記の(1)で㋐のみの記入だった方はここでも①だけ記入します。
    他の収入があった場合はそれぞれに対応する所得を記入して「合計」を⑨に記入します。
    経費の記載欄は申告書にはありません。
    経費は添付する「青色申告決算書」(下記の図表)の1ページ目に記入します。 
    「青色申告決算書」を作成すると「収入から経費などを差し引き、さらに青色申告特別控除額を差し引いて所得を求める」という流れがよく理解できます。
    そして「青色申告決算書」の「所得金額」㊺を、申告書の⑨に記入します。

青色申告決算書解説画像

  • (3)所得から差し引かれる金額
    社会保険料控除(公的年金や国民健康保険料の保険料)、生命保険料控除などの金額を該当する項目に記入します。
    「基礎控除」⑳の「38万円」は所得に関係なく誰でも受けられます。
  • (4)税金の計算
    まず所得金額⑨から、そこから差し引ける金額㉕を差し引きます。
    これが「課税される所得金額」㉖で、所得税はこれにその額に応じた税率を掛けて計算します。
    さらに、ここから直接差し引ける「税額控除」もあります。
    「配当控除」㉘~「住宅耐震改築特別控除など」㊲がそれで、該当する場合は記入します。
    また「災害減免法」の適用を受ける場合には、㊴に記入して所得税の減免を受けることができます。
    このように算出した「再差引所得税額」㊵と、それに2.1%を掛けた「復興特別所得税額」㊶の合計が実際の納税額㊷になります。
    最後に、支払元で源泉徴収された金額を㊹に記入します。
    ㊷を㊹の金額と比較し、実際の納税額が源泉徴収額を上回った黒字の場合には、その金額を㊼に、赤字だったら㊽に記入します。
    ㊽は「源泉徴収で所得税を支払い過ぎた」と言うことで、確定申告後に過払い分が還付されます。
  • (5)その他
    項目に準じて該当するものがある場合は記入しましょう。
    「青色申告特別控除額」は51に記載します。 

申告書「第二表」の書き方

青色申告第2表解説画像

  • (1)所得の内訳
    「所得の種類」、「支払者」の情報、「収入金額」、「源泉徴収税額」を、支払者から発行された「支払調書」を参考にして記入します。
    また「雑所得」などの事業以外の所得があった場合は、支払者の会社名、収入金額、支出した経費などを記入します。
  • (2)所得から差し引かれる金額に関する事項
    「第一表」に記載したものを具体的に記入します。
    控除金額ではなく「実際に支払った金額」を記入します。
  • (3)事業専従者に関する事項
    「事業専従者」は配偶者などで従業員になっている人です。
    1人で事業をしている場合は記入不要です。
  • (4)住民税・事業税に関する事項
    該当する項目があれば記入します。
    「ふるさと納税」をした場合は住民税の「寄附金税額控除」の「都道府県、市町村分」の欄にその金額を記入します。

申告書以外に必要なもの

  • 売上入金口座の通帳や受領書などの1年間の収入を確認できる書類
  • 領収書や支払明細などの経費として申告するために必要な書類

経費管理や青色申告を効率化するツール

実際に青色申告を実施するには、1年間の事業収支を記録する必要があります。
これを「帳簿付け」と言い「勘定科目」「貸方」「借方」など難解な用語を扱う複式簿記です。

簿記を経験したことがある方を除き、たいていの方はこの作業にかなりのカロリーを必要とします。

そんな時に役立つのが会計ソフトです。
会計ソフトのプラットフォームに準じて取引を記録していけば、専門的な用語の理解は後回しでも複雑な複式簿記帳簿を簡単に作成することができます。
青色申告決算書もほぼ自動的に作成することができます。
また、インターネットバンキングやクレジットカードと連携して、入出金データをそのまま自動で仕訳する機能もあります。

ここでおススメの会計ソフトをいくつか紹介します。

クラウド会計ソフトfreee

運営会社:株式会社freee
無料期間があり様々なサービスをお試しすることができます。
freeeはデータ取込や仕訳を自動化し、作業負担を大幅に軽減してくれます。
経営状況をリアルタイムに把握することもでき、レポート出力も可能です。
サポート体制や強固なセキュリティ対策もあるので安心して利用できます。
有料版は個人事業向けは816円からで、比較的ランニングコストが安いため、無料期間でお試しして、気に入ったら有料プランへのシフトするのも良いと思います。

無料で使えるのは良いですね。

マネーフォワードクラウド確定申告

運営会社:株式会社マネーフォワード
こちらも無料のお試し期間があります。
マネーフォワードクラウド確定申告は、扱いやすい画面設計が強みで、グッドデザイン賞を受賞しています。
無料プランをそのまま利用することが可能です。
有料プランは980円からで、こちらもランニングコストが安いです。

やよいの青色申告 オンライン

 運営会社:弥生株式会社
こちらも無料のお試し期間があります。
「弥生会計シリーズ」で有名な「弥生」が提供する個人事業主専用の「やよいの青色申告 オンライン」です。
「やよいの青色申告 オンライン」は取引データの自動取り込み、仕訳の自動登録機能が搭載されているため会計業務が効率化され、家計簿感覚で簡単に確定申告ができるので、簿記の知識がない方でも安心して使えます。
1年間無料、その後は1年間8,000円(月割換算で約866円)です。

確定申告に強い税理士を探して任せるという方法もありますよ。

自分はより本業に集中したいので、多少の費用を払っても税務に関することは税理士に任せたいという選択もありだと思います。
確定申告書を作成できるのは、納税者本人と税理士資格を持った人に限定され、特に専門的な税務判断が伴う場合などは税理士に頼った方が間違いはないでしょう。
そんな時に安心して任せられる税理士を無料で紹介してくれるサービスを検討してみましょう。

日本税理士紹介ネットワーク

運営会社 株式会社POLA-RIS
日本全国で税理士の紹介ができます。
もちろんオンラインのリモート応対が可能な税理士も紹介可能です。
サービス利用は無料。
こちらは税理士の登録審査を行い、スキル、実績、接客姿勢、コミュニケーションなどのサービス業としての意識を持ち合わせたが税理士をラインナップしており、経験豊富な専任コンシェルジュがヒアリングを実施して依頼者のニーズにマッチする税理士を紹介するという仕組みとなっています。
税理士と正式契約した際は「成約祝い金」を贈呈するという特典もあります。

リーズナブルな価格で頼めるならプロにお任せも良いですね。

納税しないとどうなるのか

ご注意ください。
「このぐらい大丈夫でしょ」という考え方は危険です。

まず税務署にはすべてが筒抜けになっているということをしっかり理解しておきましょう。
企業から仕事を受けて報酬を得れば、企業に報酬を支払ったという記録(支払調書など)が残ります。
確定申告をしていなくてもこれらの記録をたどることでわかってしまいます。
そして、税金滞納のペナルティがあります。
定められた期限内に確定申告をしないと、次のようなペナルティを受けなくてはなりません。

  • 延滞税の徴収
  • 無申告加算税の徴収

また、納税しないと以下のサービスが受けられなくなったり、手続きに支障が出ることがあります。

  • 国民健康保険料(国民健康保険税)や国民年金の減免もしくは免除手続き
  • 公営住宅への入居
  • 不動産物件の賃貸契約
  • 住宅、自動車、教育等のローン契約
  • クレジットカードのキャッシング
  • 幼稚園、保育園、こども園の保育料の補助
  • 乳幼児医療費助成
  • 児童手当
  • 児童扶養手当
  • 奨学金

このように確定申告をしないと税制面だけでなく日常的なサービスの利用にも不利益が生じるので注意しましょう。

青色申告のおススメ書籍

なるほど、確定申告ってとても重要なんですね。もっと掘り下げて勉強したいのですが、おススメの本はありますか?

でしたら、こちらの書籍をおススメします。

フリーランスで独立間もない方にはぜひ読んでいただきたい1冊です。
税金の基礎知識、駆け出し& 副業時代の税金、個人で独立したときの税金、帳簿の付け方、確定申告のポイントとコツのそれぞれがわかりやすく事例付きで解説されています。

 

確定申告に迷ったときはこの本が役立ちます。
確定申告書に何を書くかによって、手元に残るお金の額は違ってきます。
確定申告で節税できるかどうかは税金の事や節税に使える国の制度を知っているかどうかで180度変わります。
著者である元国税調査官の大村大次郎氏が確定申告で節税する方法をわかりやすく解説しています。
2022年の最新の税制をフォローされています。
またネット上で確定申告ができるe-Taxにも対応しているので、手元に置いておくにはおススメの1冊です。

 

フリーランスの著者きたみりゅうじ氏が、税理士から税金の講義を受講して4コマ漫画を交えてわかりやすくまとめた1冊です。
本音で節税を語ってくれる税理士と著者との漫才のようなかけあいで、堅い税金の話を楽しみながら理解することができます。
難しい本は苦手と言う方におススメします。

ありがとうございます。4コマ漫画から始めてみようかな(笑)

まとめ

今回はベテラン税理士のシカ先生を講師にお招きして、フリーランスや個人事業主が納付する税金の仕組みや、税金を納める手続きと方法、それらの手間や作業を効率化する会計ソフトや税理士紹介サービスなどについて解説していただきました。

シカさん、どうもありがとうございました。

皆さん、こちらこそ最後までご覧いただきありがとうございました。

こうして記事を書いてみて思いましたが、私自身、知らないことばかりでした(笑)

そして、ちゃんと納税するのは当然ですが、効率的に進めて本業に取り組むエネルギーを損なわないようにするかということが重要な気がしますね。

会計ソフトを活用するのも、専門の税理士さんに委託するのもその方法のひとつと言えますね。

今回のインタビューで伺ったお話や情報が、少しでも皆様のビジネスのお役に立てたらうれしいです。

ももとらサロンでは起業や副業に役立つマーケティングのノウハウや事例などをどんどん発信していきます。

新しい記事を公開した際は「ももとらサロン」のツイッターでも発信しますので、ぜひフォローをお願いたします。

最後までご覧いただき、ありがとうございました。